Friday, March 8, 2019

Zaungtuダムでの水位計設置工事に同行しました

B4の西原です.
いまは卒業論文の提出も終わり,修士課程での研究方針をぼんやりと考えているところです.
さて,2月下旬にミャンマーでの水位計の設置作業に同行してきたので,そのときの様子を写真を交えながら紹介し,自分の感想を記したいと思います.


今回のミッションはバゴー川の上流部に位置するZaungtuダムに水位計を設置することであった.Zaungtuダムはバゴー市街地から直線距離で60㎞離れた場所にあるのだが,ダムにつながる道路は半分以上が未舗装であり片道3時間半を要した.聞くところによると1年前は6時間かかったこともあるそうで,舗装路が随時延長されているため所要時間は短くなってきているのだが,それでも体が時々浮き上がるような悪路が残っており,途上国の山中に水位計を設置する大変さおよび道路インフラの重要性について身をもって知ることができた.
ヤンゴンに戻ってからは,弊研の研究員であるRalphさんとSeemantaさんがYTUの学生に水位計や気象計の扱い方についてレクチャーを行い,私も同席した.そこでRalphさんが何度も振り返り確認しながらレクチャーを進めている光景を目にして,専門技術および観測の重要性を教える難しさを実感することができた.
YTUの学生へのレクチャーの様子

また,バゴー川の現状の観測網および体制についてRalphさんがミャンマーの様々な機関の職員に説明を行う会議にも参加した.今回Zaungtuダムに水位計が設置されたことで一応の観測網が完成してリアルタイムの予測に大きく近づいたが,これを実用に活かしていくにはミャンマー側からの予算を振り分け等の協力が必要不可欠であり,観測の重要性や現状の説明で会議は長時間を要した.また会議の後,川崎先生からミャンマーの政府機関がひどい縦割り行政であることを聞き,日本側と各ステークホルダーとの協力だけでなく各ステークホルダー間の連携協力体制を作ることも求められることを知った.土木事業は他業種と比べて長いタイムスパンで目標を設定したり考えたりすることが多いが,ミャンマーでの現状を自分の目と耳で感じて,目標に向かって根気強くプロジェクトを進めていくことの果てしない大変さを改めて実感することができた.

Zaungtuダムの取水施設
さて私の卒論研究では,黒部川の発電ダム群の運用最適化をテーマにして,複雑な流路網を考慮した発電量の最大化の方法の提案を行った.この黒部川のプロジェクトにおいても上記のミャンマーでのプロジェクトと同じように,関西電力と弊研の協力だけでなくその他のステークホルダーどうしの協力体制などを鑑みながら,また長いスパンでみた電力事情の変化を考慮しながらプロジェクトを進めていくこと,またそのなかで自分にできる貢献は何かを考えながら研究を進めていくことが重要であると思いを新たにすることができた.