Thursday, December 23, 2021

研究紹介ー途上国での格差をなくすために

はじめまして。川崎グループM1の中村です。研究室に悩んでこのブログを見ていたときから早2年が経ってしまいました。研究室選択に悩んでいる方の助けに少しでもなれたらいいなと思います。

私は、B4のときから川崎先生のもとで、貧困と洪水に関して研究しています。今日は私の研究テーマを簡単にお話したいと思います。 

卒業式での写真


B4のときは、貧困と洪水被害が深刻なミャンマーのバゴー市という地域を対象に研究を行っていました。貧困層の方々は、洪水が発生しやすい地域に、洪水に対して脆い家屋を建てて居住せざるを得ない傾向があります。モンスーン期には毎年のように洪水が発生し、家屋が損傷したり、職場や学校にいけなくなったりします。そのことで、家屋の修復費の負担や、所得の減少に苦しむほか、退学を迫られた結果、将来の就職に不利になることもあります。このように、貧困層の方々は、洪水の影響でなかなか貧困状態から抜け出しにくくなっています。

 

このような現状を打開するために、治水事業や教育支援によって、貧困層の脆弱性をどの程度削減できるのかを定量化しました。今までの研究では、治水事業の効果は、地域全体での削減される被害額に注目されてきました。しかしながら、貧困層はそもそも資材や所得が少ないので、被害額そのものは大きくありません。そのため、地域全体での被害額を削減しようとすると、貧困層の影響は軽視されてしまう傾向があります。そこで、私は貧困層を世帯レベルで注目することで、貧困層の生活がどのように変わるのかをモデル化しました。

 

卒論で構築したモデル


通常の評価で用いられる費用便益比(青)と所得階層別の脆弱性削減の効果(赤)

現在、修士論文のテーマとしては、卒論で構築したモデルを、タイのロジャナ工業地域周辺に適用することを考えています。タイは、ミャンマーよりも経済が発展していますが、国内での格差はより大きいです。また、ロジャナ工業団地は2011年の大洪水で甚大な被害を受けており、これをきっかけに周囲に防水壁をつくりました。その結果、防水壁の外側では、むしろ洪水被害が増大することも予想されています。格差をさらに拡張させることにも繋がりかねません。そこで、この格差を是正するための政策を定量的に評価したいと考えています。タイとミャンマーでは、貧困のレベルや、職業、教育レベルなどが異なるため、タイで改めて世帯調査を行い、タイの現況に相応しいモデルを構築し直す予定です。また、飢餓や健康、教育、格差など、SDGsで注目されている様々な要素を評価軸に含めようと考えています。

 

なかなか現地調査に行けず残念ではありますが、これからも研究に励んでいきたいと思います!

最後まで読んでいただきありがとうございました。