Saturday, August 13, 2016

2016サマープログラム 感想1

  社会基盤学科学部3年の荒木雅弘です。

 2016725日~85日までの約2週間のサマープログラム『ビッグデータ時代における持続可能な水管理』に参加しました。川崎先生が授業中に紹介してくださり、軽い気持ちで参加を決めたのですが、参加して良かったと荒木は思います。活動内容等は専用HPに詳しいですから、ここでは個人的な観点を4つ取り上げます。

 1つ目は、プログラムの構成が良いことです。大学の講義で例えばGISや地球環境学といった個別の内容については学びますし、「現代はビッグデータの時代」という言葉は耳にしますが、どういう機関や技術が関わりあい、活用までどのような流れであるのか、という実際を知りませんでした。JAXA(宇宙航空研究開発機構)は観測データの収集について、DIAS(データ統合・分析システム)の講義では各種データの保存、分析、統合について、ArcGIS(地理情報システム・ソフトウェア)の演習ではデータの可視化について、ICHARM、並びにIFAS(統合洪水解析システム)の演習ではデータの現実への利用について、学ぶことが出来ました。このような上流から下流まで一連の流れを掴めることと、全体の中での位置を理解した上でArcGISIFAS等の技術を実践的に学べることがこのプログラムの最大の特色だと思います。

 2つ目は、英語力の向上です。講義、スライド、資料、プレゼン、そして会話も全て英語でしたので、英語が不得手な身としては苦労しました。ですが、2週間もすると少しは英語が基本の生活にも慣れるようです。英語を既に得手としている人には関係ない観点ですが、そうでない人はこのような機会を1つのきっかけに出来ると思います。

 3つ目は、各国の事情の違いを直接聴くことができ、バックグラウンドの違う人達とグループワークをする体験ができたことです。例えば、中国内陸部から来た方は「課題は環境変化による極度の大雨や洪水についてだが、そのような状況も、それについての技術も全く知らない。僕らは環境変化による乾燥と水不足に対処しようとしている」と、アフガニスタンから来た方は「国際河川の共同管理は非常に難しい。日本は先進国だが、僕の国は発展途上だから、今後も水の利用は増加する一方だ。そんな中で確たる約束が出来ると思うかい?」と、フィリピンから来た方は「外郭放水路と似た計画があるけれど、ここまでの規模のものはお金がなくて出来ない。ASEAN等のファンドを取り付けるのが困難なのよ」とおっしゃっていました。扱う数式などは共通でしたが、学んできたこと、価値観、そして常識としているものはやはり少しずつ異なっており、そのような人達と議論をして、コンセンサスを取り、共同して成果を出すというのは想像以上に大変でした。上手くもいきませんでした。しかし、将来は異なるバックグラウンドの人達と一緒に仕事をする確率の方が高いでしょうから、今の段階でこのような経験を出来たのは、慣れという意味でも、これを当たり前と考えるという意味でも、とても良かったと思います。

 最後に。海外の同年代の人達と一緒に2週間を過ごして、彼らの熱心さ、探求心の強さをよく感じました。例えば、ArcGISについては必要なツールということでYouTube先生に学ぶことが当たり前のようです。基本的な能力に差はないと思うのですが、取り組み方が異なっていました。分野は異なってきますが、あの姿勢は見習います。

 ICHARMのスタッフの方や先生方が「日本主催のプログラムなのに、多数参加して学んでいくのはほとんどが海外の学生。国で対抗する必要はないが、せっかくの機会だから日本人も活用すればいい」とおっしゃっていました。良い体験をさせて頂いた荒木もそう思います。おそらく来年以降も同種のプログラムは開催していただけるでしょうから、少しでも興味のある方は参加することをお勧めします。
 

<2016サマープログラム 感想その2>
http://kawasakilab.blogspot.jp/2016/08/summer-program-2016_23.html

<2015年のサマープログラム報告>
http://kawasakilab.blogspot.com/2015/09/summer-program-727mon-utokyo-hongo.html?m=0


  

  
  

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