Sunday, August 14, 2022

初めてのタイ,初めての海外

こんにちは。M2の五十川です。

先日,中村さんの研究の一環としてタイへ現地調査に行ってきました。

コロナ禍もあったので配属から3年目にして初の海外での調査でした。今回は8/1〜4のアユタヤ視察の,後半の2日間と前後のバンコクでの活動について書いていきます。


8/3 @セーナー地区

セーナー周辺は昨年2021年での洪水でも浸水被害を受けた地域でした。2011年・2021年と2回の大洪水を受けたため,浸水対策を自ら行っている家が多くありました。調査を訪れた当日も,大洪水が来た場合にも家屋の浸水を免れるために高床住居をさらに高くする工事を行っている住居も見受けられました。

浸水した跡がくっきり

洪水の被害の爪痕がいまだに残っている場所もあり,被害の大きさを改めて実感しました。

午後は役所に訪れて洪水発生当時や発生後の補償等についてお話を伺いました。急に訪問したにも拘らず親切に対応してくださいました。

セーナー地区の役所にて


8/4 @バーンバーン地区

バーンバーンもセーナー地区同様昨年の洪水被害を大きく受けた地域でした。

幸い家屋の浸水は免れた住居でも,洪水に伴う土砂の侵食被害が大きくても補償が得られない(家屋が浸水することで補償金が出る)等浸水被害以外で悩む方や,諸条件が重なり浸水被害を受けてもまだ補償が得られず,家を修理するお金が不十分で困っている方等,今でも資金面で課題は残存しているように見えました。

すぐ横はチャオプラヤ川

また,訪れたご家庭の中にはご家族が病院勤務者の方がいて,LINE電話(タイでも日常的に使用されているようです!)を介して昨年の洪水時での救助や病院での状況についてお話を伺うこともできました。

LINE電話を介した調査の様子


8/5 チュラロンコン大学見学&調査結果発表

前日にバンコクに戻り,この日は朝からチュラロンコン大学に訪れました。

まずはキャンパスツアー。建物や道路,広場の規模がどれもこれも大きく,うちの大学よりもすごく広々としていて羨ましいな〜と感じました。ただ驚いたのは大学でも制服があるということ。この日は翌週から授業が始まるタイミングで,制服を着た多数の新入生と見られる人々がキャンパス内を歩いていました。

白い所も含め全部がチュラ大の敷地だそうです。広すぎる…!

ツアー後は都市地域計画を専門とするSutee先生の研究室にお邪魔し,この4日間での活動報告を行いました。アユタヤでの調査ではSutee先生の研究室の学生の方々にも同行していただいたこともあり,調査結果に対する密度の濃い議論を交えてコメントを頂きました。

発表の様子

冒頭にも書きましたが,M2にして初めての海外での調査でした。過去に研究室のメンバーの,海外を対象とした同様の研究テーマに関する発表を聞いていても,実態が十二分に把握できず歯痒く感じていました。今回の調査を通し,実際現地に訪れることでわかる「生の声」を直接肌で感じ取れた経験は非常に価値のあるものだったと思います。

加えて,個人的には初のタイ,いや生まれてから24年目にして初の海外でした。タイに行く前は不安でいっぱいでしたが,現地の方々が親切に接してくださったお陰で何の大きな事故もなく1週間滞在でき,最終日には日本に帰りたくないと思えるぐらい充実したものになりました。不安感を払拭できたこの成長は,生涯大いに役立つかもしれないと感じました。

最後に,今回の調査に携わってくださった全ての方々に感謝の意を申し上げます。本当にありがとうございました!

Wednesday, August 10, 2022

研究対象地、タイに行ってきました!

川崎グループM2の中村です。7/30から8/6まで、タイに行ってきました!

現在私はタイでの洪水と貧困の研究をしています。タイに限らず、経済の中心地を守るような治水事業が行われがちであり、その影響でかえって貧困層の被害が深刻化することがあります。そこで私の研究は、貧困層・地域内格差も考慮しながら、政策の意思決定を支援することを目標にしています。今回は、主に貧困世帯での洪水の影響を把握するために、調査にいきました。今回のブログでは、8/1,2のアユタヤ視察について書きたいと思います。


8/1 am @ロジャナ工業団地

日本企業も多く進出するロジャナ工業団地を見学しました。2011年に起きた大洪水が工場に甚大な被害をもたらしたため、各工場の周りには高い壁が築かれていました。


柱上部の線が2011の浸水高

8/1 pm @ロジャナ工業団地近辺の集落

この地域は、ロジャナ工業団地の高い防水壁の影響で浸水深が増大してしまうことがシミュレーションにより分かっています。しかし、工業団地で働く従業員の寮があるなど、工場を守ることでそこで働く人はむしろ大きな被害を受けてしまうのが皮肉だと思いました。また、個人商店を営む世帯に聞き取りを行ったところ、小さな会社で働いていた奥さんが洪水の影響で失業してしまい、それからずっと生活が苦しいという話を聞くことができました。工場や裕福な世帯にとっては被害は一時的でも、貧しい方にとって被害は長く苦しいものだと再認識させられました。



8/2 am @ロジャナ工業団地周辺の集落

前日とは別の地点でも世帯調査を行いました。印象的だったのは2点です。まず、貧しい世帯では借金の返済にかかる利子に長年苦しんでいることです。洪水で被害を受けた家屋を修復するために借金をした、という世帯では10年以上たった今も返済ができておらず、利子が蓄積されてしまっているようでした。そして、2点目として、これらの世帯では家屋の修復で精一杯で、家屋をより頑強のものにする、という次の洪水への備えはできていないということです。様々な世帯で被害額を伺うと、家屋の修復にかかる費用は、事前の補強にかかる費用よりも格段に大きいことがわかりました。しかし、貧困世帯には、補強するお金はなく、結果として大きな被害を受け、借金に陥る、とても皮肉で悲しい事実を目の当たりにしました。


8/2 pm @チャオプラヤ川クルーズ


アユタヤ遺跡周辺をボートに乗って回りました。河川沿いは護岸や嵩上げがしっかりしているところもあれば、今にも沈んでしまいそうなところもありました。また、個人的に
印象に残っているのは、河川沿いにおしゃれな飲食店などが多数あったり、堤防上で談笑している学生がたくさんいたりしたことです。日本の川と比べるときれいとは言えないチャオプラヤ川ですが、やはり川の周りで様々な活動が生まれるのは共通していました。


ボートの上から遺跡も見れました!


私は、B4の頃から似たトピックを扱っていましたが、コロナ禍で海外での調査が難しく、もどかしい思いがずっとありました。今回ようやく現地の状況を自分の目で見て、現地の方の生々しい話を聞いて、非常に勉強になりました。

貴重な機会をありがとうございました!