Wednesday, August 10, 2022

研究対象地、タイに行ってきました!

川崎グループM2の中村です。7/30から8/6まで、タイに行ってきました!

現在私はタイでの洪水と貧困の研究をしています。タイに限らず、経済の中心地を守るような治水事業が行われがちであり、その影響でかえって貧困層の被害が深刻化することがあります。そこで私の研究は、貧困層・地域内格差も考慮しながら、政策の意思決定を支援することを目標にしています。今回は、主に貧困世帯での洪水の影響を把握するために、調査にいきました。今回のブログでは、8/1,2のアユタヤ視察について書きたいと思います。


8/1 am @ロジャナ工業団地

日本企業も多く進出するロジャナ工業団地を見学しました。2011年に起きた大洪水が工場に甚大な被害をもたらしたため、各工場の周りには高い壁が築かれていました。


柱上部の線が2011の浸水高

8/1 pm @ロジャナ工業団地近辺の集落

この地域は、ロジャナ工業団地の高い防水壁の影響で浸水深が増大してしまうことがシミュレーションにより分かっています。しかし、工業団地で働く従業員の寮があるなど、工場を守ることでそこで働く人はむしろ大きな被害を受けてしまうのが皮肉だと思いました。また、個人商店を営む世帯に聞き取りを行ったところ、小さな会社で働いていた奥さんが洪水の影響で失業してしまい、それからずっと生活が苦しいという話を聞くことができました。工場や裕福な世帯にとっては被害は一時的でも、貧しい方にとって被害は長く苦しいものだと再認識させられました。



8/2 am @ロジャナ工業団地周辺の集落

前日とは別の地点でも世帯調査を行いました。印象的だったのは2点です。まず、貧しい世帯では借金の返済にかかる利子に長年苦しんでいることです。洪水で被害を受けた家屋を修復するために借金をした、という世帯では10年以上たった今も返済ができておらず、利子が蓄積されてしまっているようでした。そして、2点目として、これらの世帯では家屋の修復で精一杯で、家屋をより頑強のものにする、という次の洪水への備えはできていないということです。様々な世帯で被害額を伺うと、家屋の修復にかかる費用は、事前の補強にかかる費用よりも格段に大きいことがわかりました。しかし、貧困世帯には、補強するお金はなく、結果として大きな被害を受け、借金に陥る、とても皮肉で悲しい事実を目の当たりにしました。


8/2 pm @チャオプラヤ川クルーズ


アユタヤ遺跡周辺をボートに乗って回りました。河川沿いは護岸や嵩上げがしっかりしているところもあれば、今にも沈んでしまいそうなところもありました。また、個人的に
印象に残っているのは、河川沿いにおしゃれな飲食店などが多数あったり、堤防上で談笑している学生がたくさんいたりしたことです。日本の川と比べるときれいとは言えないチャオプラヤ川ですが、やはり川の周りで様々な活動が生まれるのは共通していました。


ボートの上から遺跡も見れました!


私は、B4の頃から似たトピックを扱っていましたが、コロナ禍で海外での調査が難しく、もどかしい思いがずっとありました。今回ようやく現地の状況を自分の目で見て、現地の方の生々しい話を聞いて、非常に勉強になりました。

貴重な機会をありがとうございました!

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